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【リズと青い鳥】感想・評価/ただの百合じゃない!音で語る美しい青春(ネタバレあり)

【リズと青い鳥】感想・評価/ただの百合じゃない!音で語る美しい青春(ネタバレあり)【リズと青い鳥】感想・評価
おばけ
おばけ
どうも!映画好きな 風街おばけ(@obake_kzmc)です!

タイトルの響きに惹かれた映画、「リズと青い鳥」を観賞してきました。

  1. 内容が「百合っぽい」と評判
  2. 監督は「映画 聲の形」の山田尚子さん

この2点はぼんやり知っていましたが、作品に関する予備知識は0のまま観に行きました。

ちなみに予告映像すら見ていません。

完全にCDをジャケ買いするノリでふらっと観に行きました。

そして、最近見た中では1番好きな映画になりました。

繊細で不器用な青春が、ゆっくり丁寧に描かれている素晴らしい作品だったんです。

今回はそんな「リズと青い鳥」の感想や評価をまとめました。

 「リズと青い鳥」のあらすじ

「リズと青い鳥」のあらすじあらすじ

 主人公は対照的な2人の女子高生

リズと青い鳥のあらすじは

吹奏楽部でオーボエ担当の “みぞれ”(鎧塚 みぞれ)が、フルート担当の “のぞみ”(傘木 希美)に対して秘めた想いを抱く学園ガールズラブ作品。

控えめな性格で人付き合いが苦手な みぞれ と、明るい性格で誰からも好かれる のぞみ。

そんな対照的に見える2人は、親友同士。

でも実は

みぞれ は のぞみ のとこが好きで、ずっと側にいたいと願っている。

のぞみ は みぞれ の高い音楽の才能に劣等感を感じている。

最後のコンクールの自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」ではお互いのソロパートの掛け合いをすることになったのだが、何度練習してもうまくかみ合わず、次第に2人はすれ違っていく…。

といった感じ。

こう書くとかなり百合ってるように思えそうですが、実際そんなことはありません。

お互いのぎこちない感情表現、内に秘めた繊細な気持ち。

そういった部分が丁寧に描かれている美しい青春映画で、自然と引き込まれてしまいます。

原作「響け!ユーフォニアム」を知らない人でも大丈夫

鑑賞後に調べると、この映画は「響け! ユーフォニアム」という小説(マンガやアニメにもなっているらしい)のスピンオフ作品だったようです。

そうとは知らず原作のユーフォニアムは全くの未読・未視聴でしたが、なんの問題もなく楽しめました。

もしかすると原作を知っているからこそ楽しめる描写も中にはあるんでしょうが、逆になんにも知らなくても大丈夫です。

むしろ宣伝や予告映像にもスピンオフ作品だという主張はなかったので、原作を知らない人でも楽しめる作りにしたんだと思います。


「リズと青い鳥」の魅力

「リズと青い鳥」の魅力「リズと青い鳥」の魅力

セリフ以外で大いに語る

「リズと青い鳥」は、セリフも少なく場面の切り替わりも少ない淡々と物静かな映画です。

しかし、多くを語らず細かい描写で魅せてきます。

  • 髪の揺れ動き
  • 姿勢(猫背だったりピンと伸びてたり)
  • 歩き方
  •  目線の動き

こういうなんでもない描写が、非常に細かく絶妙でたまらないんです。

言葉は少なめですが、表情やしぐさでそれを受け手に表現してくれます。

特に みぞれ が時々やる髪をいじるクセがどういうシーンで出てくるかに注目していると、後半になるにつれグッときました。

今から観に行く人はぜひ注目していてください。

曲や効果音がいちいち素晴らしい

セリフの少なさを魅力的に感じさせる細かい表現に加え、さらにそこに深みを与えたのが曲や効果音の数々です。

  • 主題歌・挿入歌
  •  楽器を吹く前/最中のブレス(息継ぎ)
  • バスケットボールをドリブルする音
  •  肌が擦れる音
  • 水槽の音
  •  足音(テンポの違い)
  • 衣擦れ

曲はもちろんのこと、細かいですがこういうちょっとした音周りがいちいち素晴らしかった…!

どんな些細な音も空間の広がりを感じさせ、あの学校特有の響き方を思い出せてとても良かったです。

学生時代、放課後に吹奏楽部が練習で演奏している情景が蘇ってきてノスタルジックな気持ちになりました。

童話パートの絵がキレイ

「リズと青い鳥」は、現実(みぞれ と のぞみ)を描くパートと童話(リズと青い少女)を描くパートが切り替わりながら進んでいく映画です。

童話パートでは水彩画のようなタッチで背景が描かれており、それがとてもキレイなんです。

絵本のような温かくて優しいタッチに淡くて繊細な色使いが合わさり、個人的にかなり好みな雰囲気をした絵でした。

動物も花も湖も、どれもじっくりと見たくなるほど素敵なデザインでした。

僕は映画通して童話パートが物語も含めてすごくお気に入りです。

百合なんだけど百合すぎないところ

「リズと青い鳥」は世間では百合映画と言われているようです。

確かにそうではあるんですが、その一言で片づけるにはあまりに勿体ない作品なんです。

ネタバレになってしまいますが、作中でみぞれ と のぞみ との間で行われる百合っぽい動作のクライマックスはハグのみです。

それもたったの1回。

それ以外は、ちょっとした目線やしぐさといったものから百合感がほんのり漂ってくる程度です。

この控えめな百合すぎない演出がよかった…!

僕は別に百合作品が好きという人ではないので、この決してやりすぎないリアルな奥ゆかしい感じがとても好きでした。


「リズと青い鳥」の感想・評価

感想としては、とにかく とてもとても丁寧な映画です。

同じようなトーンで淡々と物静かに物語は進行していきます。

だからといって、最後まで飽きることはありませんでした。

映画冒頭、みぞれ と のぞみ が学校前で出会って少しお喋り(ほんとうに少し)をしながら吹奏楽部の部室へ向かいます。

2人は部室に入り、コンクールの自由曲である “リズと青い鳥” の練習を始めます。

練習の途中で、のぞみ が持っていた原作となる絵本を読み始めます。

たったこれだけの描写が、かなりの時間を割いて描かれています。

そこには状況説明もなく、静かな学校にほんの少しの会話と足音、そして控えめな挿入歌のみ響きます。

でもその時に みぞれ はまるで子犬のようにずっと のぞみ の後ろをついて歩く姿、2人の姿勢やちょっとした歩き方の違いなんかにも気付くことができます。

こういう細かいところに気付ける余裕があるぐらい、必要最低限のものをたっぷり時間をかけて流してくれます。

そして、それがとても心地いいんです。

足音やドアの締め方なんかで誰かを判断することって、結構できるんですよね。

特に好きな人が出す音なら、どんな音だって耳に残ります。

後半 みぞれ 本人の口から語られますが、みぞれ にとっては のぞみ の「足音」すらも魅力的で大好きなところのひとつなんです。

だからこそ、冒頭の足音が響くシーンが活きてきます。

「リズと青い鳥」では、そういう「聴かせる」演出がたくさん散りばめられています。

音楽を扱う映画ならではで、素敵な演出でした。

みぞれ は のぞみ に憧れていて、彼女のようになりたいと思っています。

しかしコミュニケーションが苦手な みぞれ は、それを言葉ではなく「後ろをついて歩く」という行動で示します。

そんな不器用でいじらしい言動(主に行動)が劇中にはたくさん詰まっています。

そして、その1つ1つが気を抜くと見落としそうなぐらいとても繊細で「ただの百合ってる映画」という言葉で片づけるにはもったいなさすぎるんです。

みぞれ にとっては、のぞみ が自分の全てなんです。

そんな視野が狭すぎる世界で生きる みぞれ は、周りからどんなに歩み寄られてもそれに応えようとはしません。

「のぞみ」と「その他」の2つでしか日常を生きていないんです。

そんな不器用すぎる みぞれ が初めは痛々しくもどかしくもありました。

けれど、内向的でみんなとうまく馴染めない みぞれ と陽気で活発で皆から人気のある のぞみ のどっちが「リズ」で「青い鳥」なのか、次第に童話パートと重なって紐解かれてゆきます。

いつもそばにいる友達同士だからといって、口にはできない様々な気持ちがあります。

劣等感、憧れ、妬み、嫉妬、焦り、そして恋心。

まるで自分だけが周りから置いていかれるような気持ちって、進路や将来を考えて新たな道へと進む時期に僕もあったなぁと心がじんわりしました。

最後は結局、お互い違う道を進むことを決めた みぞれ と のぞみ。

でもそこに悲壮感はありません。

「物語はハッピーエンドがいいよ」と言ってのけた のぞみ。

2人が別々の道に進んだって、会いたければ会いに行けばいい。

そして、それを静かに受け入れ力強く歩を進める みぞれ。

童話(リズと青い鳥)のストーリーとリンクして みぞれ と のぞみ の心境がゆっくり変化していく様子や、お互いのことを想いながら新たな未来へと歩き出す姿が清々しくとてもカッコよかったです。

作中に悪い子は1人も出てきません。

だからといって、ずば抜けていい子ってのも出てきません。

百合だ百合だと言われていますが、きわどい描写も一切ありません。

そんなところが、どこにでもいる女子高生の現実的な青春と葛藤をリアルに描いているように感じられて良かったです。

ただの百合じゃない!「リズと青い鳥」まとめ

「リズと青い鳥」は、決してアップテンポでエネルギッシュな映画ではありません。

アクションシーンも派手な演出も全くありません。

百合要素を期待している人からすれば、物足りないかもしれません。

でも確かに、一言でなんと表現すれば良いか分からない不思議な温かい感情を残してくれます。

そんな感想の映画でした。

僕はかなり好きなタイプの映画だったので、大満足しつつ余韻に浸っています。

原作「響け! ユーフォニアム」を知らない人でも楽しめますし、なにより原作を見てみたくなりました。

観終わったあとの感想が似ている作品を挙げるとすると

言葉は少なく表情やしぐさで受け手に語り掛ける作風は、マンガ富士山さんは思春期の雰囲気を彷彿とさせました。

「富士山さんは思春期」が好きな人は、絶対に楽しめる映画だと思います

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そしてなんだか昔の友達に連絡取りたくなったなー。

それもLINEじゃなくて電話で。

頭の中で思い出せる声と今の声とでは違いがあるのかな。

もし電話をかけたらなにを話すのかな。

そんなことを思わせてくれる映画でした。

「ストーリーを把握したうえでもう一度見たい系」の映画なので、はやくも2回目が見たくてウズウズしています…。

あ、あと見終わったら必ずアイスが食べたくなりますよ!

その理由はぜひ劇場でお確かめくださいね。

おばけ
おばけ
ハッピーアイスクリーム!!
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